はじめに
動画編集を練習している背景
ここ最近、動画編集の練習を始めました。まだ人に見せられるレベルではないのですが、ブログを始めてから、テキストだけでは伝わりにくい内容(操作感、効果の前後比較、ワークフローの流れなど)が多く、いずれはYouTubeでも発信してみたいと考えています。
ブログと動画の関係、収益化の事情
当ブログではレトロゲームを扱っていますが、ゲーム系の話題はメーカーの方針でブログでの広告収益が制限されることもあり、比較的、収益化の制限が緩い動画で補完する方法を模索中です。動画なら操作やUIの細かいニュアンスが一発で伝わりますし、記事との相互リンクで理解も深まります。
本記事の目的(主要ソフト比較の記録)
その準備として、代表的な動画編集ソフトをいくつか試しました。本記事は、CyberLink PowerDirector、Adobe Premiere Pro、DaVinci Resolve を実際に触ってみた率直な所感のまとめです(技術仕様の網羅ではなく、使って感じた使い勝手と相性のメモ)。
※参考までに動作検証環境:第8世代 Core i7/16GB RAM/GeForce GTX 1050 Ti(モバイル向け)
CyberLink PowerDirectorを使ってみた
良かった点(価格・軽さ・AI字幕+音声機能)
- コスパ良し・分かりやすいUI:メニュー構成が素直で、最初の一本として迷いにくい。AI機能クレジット、バナー画像作成ツール、素材集などを含めても月2,000円程度。
- 軽快に動く:旧世代構成(i7-9th+16GB+GTX1050 Ti)でも編集がもたつきにくい印象。そもそもNVIDIAのGPUを要求しない。
- 字幕→AI音声ナレーションまで一気通貫:自動字幕生成から合成音声でのナレーション付けまで、ワンストップで完結できるのは強力。自分の“おっさん声”を録らずに済むのは精神的ハードルが下がる。今のところ、これがワンストップで出来るソフトはPowerDirectorのみの認識。ただし、読み上げの声バリエーションと品質はイマイチ。
- クイック制作に向く:テンプレとガイドが充実しており、短時間で一本仕上げたいときに役立つ。
合わなかった点(フレーム精度・OBSマーカー未対応)
- 精密カットのツメが甘い:フレーム単位での編集がうまくいかない。同じソースクリップを別トラックに置いてカット、つなぎ合わせてもズレが出る。OBSでの録画からPowerDirectorのFPS設定を揃えているはずなのに。。。細かい編集を繰り返す場面ではストレスに。
- AI生成の出力ばらつき:期待どおりの結果が出ないケースがあり、結局手動調整が増えがち。
- OBSハイブリッドMP4のチャプターマーカーが取り込めない:自分のワークフローだとここが痛点。収録→編集の橋渡しがスマートでない。
Adobe Premiere Proを使ってみた
良かった点(Adobe製品連携・情報量・業界標準)
- 精密カット編集が可能:PowerDirectorで出来なかった精密編集が可能だった。全くずれが無くつなぎ合わせができる。
- Photoshop/Illustrator連携が強い:サムネ作成やロゴ・テロップの作り込み、After Effectsとの往復など、デザイン面が圧倒的にやりやすい。
- 学習リソースが豊富:ネット上の解説・教材が桁違いに多く、困ったときの情報にアクセスしやすい。
- 業界標準の強み:身につけたスキルが受託・副業にも転用しやすい(かも)。
- OBSマーカーを取り込む余地:Pythonで変換スクリプトを挟めば、OBSのチャプターマーカーをタイムラインマーカーとして読ませられる(読み込み後の扱いに少しクセあり)。
合わなかった点(高コスト・習熟難度・FIREとの相性)
- サブスク費用が重い:ほぼ月1万円。全部入りの価値はあるが、実際に使う機能は一部で、費用対効果に悩む。ちなみに、最初に解約しようとしたときに機能が同じで月3,500円ぐらいの特別プライスを提示された。いったん承諾してしばらく使ってみましたが最終的に解約。2年目以降の定価での継続は難しいだろうし、Adobe製品は頻繁に価格が上がるので趣味で使うにはコストが高すぎる。
- 習熟に時間がかかる:できることが多い分、機能を覚えて使いこなすのに年単位の経験が要りそう。
- FIRE志向と相性が悪い:固定費が積み上がるのは避けたいという自分の価値観とズレる。
DaVinci Resolveを使ってみた良かった点(無償の強さ・OBSマーカー対応・将来性)
- 無償版の完成度が高い:カット・カラー編集・音声(Fairlight)・Deliverまで、YouTube制作には十分すぎるレベル。
- OBSチャプターマーカーに標準対応:収録→編集の移行がスムーズで、カット作業がはかどる。
- 有償版でも買い切り:クラウド税を払う必要がなく、約5万円の買い切り。購入者向けの無償アップデート期間も長いと言われ、長期利用の安心感がある。
- プロ現場での普及:Premiereほどではないにせよ、ポスプロ分野での採用事例が多く、スキルの汎用性も期待できる。
- YouTube界隈でシェア拡大:無償で始めやすく、チュートリアルも増えてきている印象。
合わなかった点(UIの癖・情報不足・GPU依存)
- UI/UXに独特の流儀:機能を覚えてスムーズに操作できるまで時間がかかりそう。学習コストはPremierと大差ないか、もしかするとResolveの方が時間がかかるかも。
- 日本語情報はPremiere比で少なめ:ただし、ChatGPTで聞けば大抵の困りごとは解消可能。
- ベクターデータ周りの相性:SVGをそのまま扱えないなど、他データとの組み合わせで工夫が要る。
- ローカルAI処理の重さ:買い切りということはクラウド処理が無いということ。多くのAI処理がPC側で回るため、GPUが貧弱だと待ち時間が伸びる(そもそも無償版はGPU活用に制限がある)。RTX3000シリーズ以上、VRAM 8GB以上が必要になりそう。
最終的に選んだソフトと理由
DaVinci Resolveを選んだ決め手
- 無料でプロ級という圧倒的コスパ。収録時に打ったOBSのチャプターマーカーがそのまま生きるため、編集の初速が上がる。
- カラーや音声工程までひとつのツールで完結でき、動画制作の工程がブレない。
FIRE志向とコストのバランス
- 収益化が見込めないうちは固定費を増やさないのが原則。買い切り(将来はStudio版)を見据えつつ、まずは無償版で腕を磨くのが合理的。
今後の制作環境(GIMP・Inkscape・OBS・Resolve・VOICEVOX)
- 画像処理:GIMP
- ベクター:Inkscape
- 録画:OBS Studio(ハイブリッドMP4+チャプターマーカー)
- 編集:DaVinci Resolve(無償版から開始)
- ナレーション:VOICEVOX(字幕→音声の流れを定型化)
この構成なら、ゼロ~低コストで“見せられる動画”に到達できるはず。
学習スタンス(ChatGPTを活用しながら)
- まずは短い企画で量をこなす→詰まったらChatGPTにピンポイントで聞く→同じ操作を自分の言葉で手順化して再現性を上げる、の反復で行きます。
- 下手でも、再生が伸びなくてもコンスタントに作り続ける。
まとめ
3つのソフトを比較して分かったこと
- PowerDirector:軽快&クイック制作に強い。自動字幕~合成音声の一気通貫が魅力。ただし精密編集やOBSマーカー連携では物足りない。
- Premiere Pro:Adobe連携と情報量は最強。業界標準の安心感。ただしコストと習熟負担が大きく、FIRE志向とはトレードオフ。
- DaVinci Resolve:無償版が強力で、OBSマーカー対応がワークフローに刺さった。買い切り前提でのステップアップも描きやすい。
今後の動画制作への展望
- 当面は短尺で“一本完走”を積み上げ、編集の基礎体力をつける。
- ブログと動画を相互リンクし、検索から来た読者が動画で理解を深められる導線を整える。
- 収益化は焦らず。無償ツール中心でランニングコストを抑え、習熟に投資する時期と割り切る。
ゲーム系の場合、完成動画の尺は短くても、元動画の録画に時間がかかるんですよね…。「ファミコン探偵俱楽部 消えた後継者」の各シーン、登場人物ごとの比較動画を作ってみようかと思ったら、多分、15時間ぐらいかけてどちらもクリアしないといけない。それだけで連休が潰れそう…。
3製品 比較表(更新版)
| 項目 | PowerDirector | Adobe Premiere Pro | DaVinci Resolve |
|---|---|---|---|
| 価格/ライセンス形態 | サブスク:PowerDirector 365 年¥9,280(キャンペーン例:年¥6,700)/月¥2,180 買い切り:PowerDirector 2025 Ultimate など(例:¥16,980 前後) | サブスクのみ:単体プラン 年間プラン(月々)¥3,280/月。 (参考)All Apps=Creative Cloud Pro 年間プラン(月々)¥9,080/月。 | 無償版あり(多機能)。 有償Studio:買い切り ¥48,980(日本)/$295(グローバル)。 |
| 字幕の自動生成(キャプション) | ○:AI文字起こしで字幕生成。 | ○:Speech to Text(オンデバイス対応)。 | △:自動字幕はStudioのみ(無料版は手動作成やSRT取込で対応)。 |
| 合成音声(TTS)内蔵の有無 | ○:AIテキスト読み上げ(クレジット消費・オンライン要)。 | ×:内蔵TTSなし(必要ならAdobe Express等で代替)。 | ×(内蔵TTSなし)。 |
| 4K出力 | ○:4Kプレビュー/書き出し対応。 | ○:4K(2160p)プリセット等で書き出し可能。 | △:無料版はUHD 3840×2160/60fpsまで。StudioでDCI 4K〜最大32K/120fps。 |
| OBSチャプターマーカー取り込み | ×(直取り込み不可の挙動)。 | △(スクリプト等で変換してタイムラインマーカー化)。 | ○(埋め込みチャプターを認識)。 |
| ベクターデータ(SVG)対応 | ×(SVGの直接取込不可。ラスタ変換で代替が現実的)。 | 〇(SVGは非対応ながら、AI/EPSでワークフロー)。 | △(Fusionの「Import ▸ SVG…」で読込可だが扱いに癖)。 |
| 処理の軽さ・動作 | 軽め。古めの構成でも実用的。 | 中〜重め。高機能だが重たい場面も。 | GPU依存度高め。AI系は強力GPUで真価。 |
| 学習コスト/情報量 | 低〜中(UI分かりやすい)。 | 中(情報量は非常に多い)。 | 中〜高(UIに癖。学習曲線あり)。 |
| 最小スペック目安(体感) | 第9世代i7+16GB RAM+GTX 1050 Tiで概ね快適。 | 同等以上推奨。 | 同等以上かつGPU強め推奨。 |
| その他一言メモ | 手早く作るのに最適。 | Adobe連携が強い。 | 無料で強力。将来Studio移行も買い切り。 |
注:価格はキャンペーンや改定で変動します。実購入時は各公式ページの最新表記を確認ください。それにしてもCyberLinkとAdobeは年中キャンペーンをやっている印象。AdobeはPayPay支払い割引もやってました。
参考情報
- DaVinci Resolve 製品紹介ページ
- Adobe Premiere Pro 製品紹介ページ
- CyberLink PowerDirector 製品紹介ページ


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