EVO-X5 Pro(Ryzen AI Max+ PRO 495)は104万円──予想の上振れも超えた「MoE専用機」、395持ちは様子見でいい

テクノロジー

前回の記事で、Ryzen AI Max+ PRO 495(統合メモリ192GB)を載せたミニPCの価格を「日本の実売で70〜85万円、上振れすれば90〜100万円」と予想しました。その本命、GMKtecのEVO-X5 Proが日本の公式ストアに並びました。

192GB+2TBで104万円(¥1,039,840)。上振れの予想も超えてきました(震え声

先に結論を書きます。

  • 思ったより高い。 私が使っているEVO-X2(Ryzen AI Max+ 395、128GB)は、同じ2TB構成が今の公式ストアで58万3千円。差は約46万円で、増えるのはメモリ64GBです
  • 速さはほぼ変わらず、実質「MoE専用機」です。 メモリ帯域は+6.6%しか伸びていません。大きなDenseモデルは帯域に足を引っぱられて遅く、真価が出るのは1トークンで使う部分が小さいMoEモデルだけ、という前回の見立ては変わりません
  • 今いちばん賢いMoE(Qwen3.8 Flash Next)は、128GBでも動いています。 EVO-X2を専用機にすれば、合格17/21を出せました。+64GBに46万円の価値が出るかは、「192GBでなければ動かず、しかも明らかに賢いMoE」が出てくるかどうかで決まります
  • 395持ちは様子見でいい。 そういうモデルが出てこないなら、画像・動画生成やファインチューニングにも強いRTX Spark(128GB)のほうが、賢い選択になり得ます

価格と仕様

GMKtecのRyzen AI Max+機の価格(2TB構成、税込)。背景の帯が前回の予想。EVO-X5 Proは上振れの帯も突き抜けました
GMKtecのRyzen AI Max+機の価格(2TB構成、税込)。背景の帯が前回の予想。EVO-X5 Proは上振れの帯も突き抜けました
EVO-X2(私の機種)EVO-X5 Pro
CPURyzen AI Max+ 395Ryzen AI Max+ PRO 495(最大5.2GHz)
GPURadeon 8060S(40CU)Radeon 8065S(40CU、3.0GHz)
NPU50 TOPS55 TOPS
メモリ128GB(LPDDR5X-8000)192GB(LPDDR5X-8533)
メモリ帯域(理論値)256GB/s273GB/s(+6.6%)
LAN2.5GbE×110GbE×2
USB42基80Gbps×2+40Gbps×2
電源約230W330W
価格(2TB構成)58万3,000円103万9,840円

(GMKtec日本公式ストアの商品ページより、2026年9月28日。帯域は前回の記事でまとめたAMDなどの公表値。4TB構成は107万1,840円)

中身は前回書いたとおり、395のマイナーチェンジです。CPUとGPUの世代は同じで、周波数が2〜3%上がっただけ。変わったのはメモリが192GBになったことで、筐体の側では10GbEが2本とUSB4 V2(80Gbps)が付くなど、つなぐ口が大きく増強されています。

速さは変わらない。だから「MoE専用機」

LLMが1トークン生成するたびに、モデルの重みのうち計算に使う部分をメモリから読み出します。だから生成速度の上限は「メモリ帯域÷1トークンで読む量」で決まる、というのが、このシリーズでずっと確かめてきたことです。

  • EVO-X2でQwen3.8 Flash Next(IQ4_XS)を動かすと、1トークンで約5.4GiBを読んで17 tok/sでした。帯域が6.6%伸びても、同じ効率なら18 tok/s前後です
  • DenseのQwen3.8 27Bは1トークンで約23GBを読むので、EVO-X2では毎秒6トークン前後の見積もりでした。PRO 495でもほとんど変わりません

つまり、192GBに大きなDenseモデルを載せても遅すぎて使えず、意味があるのは「全体は巨大でも、1トークンで使う部分は数Bだけ」のMoEモデルです。EVO-X5 Proは、実質MoE専用機と考えるのが妥当だと思います。

Qwen3.8 Flash Nextは、128GBでも動いている

では、192GBでなければ動かないMoEで、今いちばん使いたいものは何か。前回の記事で目玉にしたのはQwen3.8 Flash Next(総パラメータ125B、1トークンで使うのは約6B)で、「4bitだと約111GBで、128GB機のGPU割り当てを超える」と書きました。

ところが、その後の検証で、IQ4_XS(94.6GB)ならEVO-X2でも動き、日常タスク21回で17回合格しました。6本の高パラメータモデルの中で、35BのQwen3.6を上回ったのはこれだけです。ただし空きメモリの底は6.6GBで、ほかに何も動かせない「専用機」の使い方でした。

192GBで良くなるのは、次の3つです。

  1. Flash Nextを動かしたまま、ほかのことができる。 空きが6.6GBから約70GBになり、画像生成のモデルなどを一緒に載せておけます
  2. 量子化をもう一段上げられる。 4bitの約111GB版なら余裕で載ります。ただし、IQ4_XSの17/21からどれだけ上がるかは、このブログではまだ確かめていません。量子化を下げたときは17→14→11と落ちたので、上げれば少し良くなる可能性はあります
  3. もっと大きなMoEが視野に入る。 前回挙げたQwen3.5-397B-A17Bの3bitは、192GB級で初めて動くクラスです

どれも「今の128GBでもできることの、余裕が増える」話で、新しくできることは3だけです。+64GBに46万円(1GBあたり約7,100円)の価値が出るかは、「192GBでなければ動かず、Flash Nextより明らかに賢いMoE」がこれから出てくるかどうかで決まります。

RTX Spark 128GBという選択肢

比べたくなるのが、10月に搭載機が出始めるNVIDIAのRTX Spark(最大128GB)です。容量は395と同じ128GB。帯域の公表値はまだありませんが、同じ128GBのDGX Spark(GB10)と同じメモリの作り(LPDDR5X-8533、256ビット幅)なら273GB/sで、PRO 495とまったく同じになります。そうなら、LLMの生成速度はほぼ横並びで、差が出るのは演算性能で決まる部分です。CUDAがそのまま動き、低精度演算用のTensorコアを持つので、LLM以外の生成AIでは有利なはずです。

  • 画像・動画生成: ComfyUIの最適化はCUDA向けが先に来ます。EVO-X2とRTX 5090の比較では、画像・動画の生成で大差がつきました(RTX 5090は専用GPUなので、RTX Sparkとは別格ですが)
  • ファインチューニング: 学習ツールもCUDAが最短ルートです

一方で、価格はまだ出ていません。同じ128GBのDGX Sparkは、発売時の3,999ドルから、2月に4,699ドル、9月には4,999.99ドルまで値上がりしました。理由はメモリの供給不足です(ゲーミングスタイル、2026年9月21日)。RTX Spark搭載機の128GB構成は4,000ドル前後という見方もありますが、メモリ高騰の中で、EVO-X5 Proより高くなる可能性もあります。RTX Spark機がそこまで高ければ、話は変わってきます。

Claude Codeの見立て:メリットとデメリット

この記事を書くにあたって、Claude Codeにもメリットとデメリットを整理してもらいました。

メリットデメリット
192GBはRTX Spark(128GB)の1.5倍。Flash Nextを動かしたまま、ほかのモデルも載せておける104万円。395機との差は約46万円で、メモリ64GBあたり1GB約7,100円
x86のWindowsとLinuxがそのまま動く帯域は+6.6%、演算性能もほぼ同じ。LLMも画像・動画生成も、速さは395と変わらない
10GbE×2とUSB4 V2(80Gbps)。100GB級のモデルの出し入れやNASとのやりとりが速い+64GBでなければ動かない、明らかに賢いMoEは、今のところ限られる
次の世代(Medusa Halo)は帯域が大きく上がると噂されていて、買い時として中途半端

Claude Codeがもう一つ挙げたのが、長い文脈の読み込み(プリフィル)です。エージェントは、会話の履歴や資料を毎回まとめて読み込むので、生成の速さだけでなく読み込みの速さも効きます。ここは演算性能で決まる部分で、Tensorコアを持つRTX Sparkが有利になりやすい、とClaude Codeは見ています。ただ、実機のベンチマークはまだなので、10月以降の答え合わせ待ちです。

Claude Codeの見立ても、私の結論と同じ方向でした。LLMのために帯域を買うなら、帯域の大きい次の世代を待つ。容量だけのために46万円を足すのは、「192GBでしか動かない良いMoE」が出てからで遅くない。

まとめ

  • EVO-X5 Pro(Ryzen AI Max+ PRO 495、192GB+2TB)は104万円。前回の予想(上振れで90〜100万円)も超えた
  • 帯域は+6.6%で、速さはほぼ395のまま。大きなDenseモデルには向かず、実質MoE専用機
  • 今いちばん賢いMoEのQwen3.8 Flash Nextは、128GBのEVO-X2でも専用機として動いている(17/21)。+64GBの価値は、192GBを活かせるMoEが出てくるかどうか次第
  • そういうモデルが出てこないなら、画像・動画生成やファインチューニングにも強いRTX Spark 128GBのほうが賢い選択になり得る(RTX Spark機の価格次第)
  • 395持ちは、RTX Sparkの実機と価格、そして次の世代の情報が出そろうまで様子見でいい

人間がやったこと、Claude Codeに任せたこと

人間(私)Claude Code
記事の論調(思ったより高い、MoE専用機、395持ちは様子見、RTX Sparkのほうが賢い選択になり得る)、メーカーのページの提示、この記事のレビューメーカーのページと公式ストアの商品データの確認、RTX Spark・DGX Sparkの価格の調べもの、過去の実測の引用、メリット・デメリットの整理、原稿と図

というわけで、104万円は見送り。手元の128GBを使い倒します。

五十路の財布に、64GBの増設スロットはない(震え声

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