前回の記事で、EVO-X5 Pro(Ryzen AI Max+ PRO 495、192GB)の104万円を見て、「RTX Spark 128GBのほうが賢い選択になり得る。ただし、RTX Spark機の価格がさらに高ければ話は変わる」と書きました。その答えが、10月7日(日本時間8日未明)のマイクロソフトの発表で出ました。
RTX Sparkを載せた15型ノート、Surface Laptop Ultraが、メモリ128GB・SSD 1TBの構成で税込109万4,280円です(PC Watch)。一方のEVO-X5 Proは、10月8日時点の公式ストアで192GB+2TBが108万7,840円。前回の記事を書いた9月28日から、4万8,000円上がっていました(震え声
差は、わずか6,440円です。

先に、私の結論を書きます。
- 値段が同じなら、違いは「メモリ+64GB」と「GPUの作り」の2つです
- ローカルLLMの速さは、ほぼ変わりません。 メモリ帯域がほぼ同じだからです。+64GBが生きるかは「192GBでなければ動かない良いMoE」が出るかどうか次第で、私はそういうモデルは出てきにくいと見ています
- 画像・動画生成まで含めた演算では、RTX Sparkが上です。 CUDAがそのまま動き、低精度の演算に強いTensorコアを持っています
- 今から統合メモリ機を買うなら、RTX Spark 128GBを勧めます。 ローカルLLMが目的で価格がネックなら、1世代前のRyzen AI Max+ 395を載せた機種もありです。EVO-X2なら58万3,000円で、ほぼ半額です
価格

| 機種 | 構成 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| EVO-X2(Ryzen AI Max+ 395) | 128GB+2TB | 58万3,000円 |
| Surface Laptop Ultra(RTX Spark) | 64GB+1TB | 81万2,680円 |
| EVO-X5 Pro(Ryzen AI Max+ PRO 495) | 192GB+2TB | 108万7,840円 |
| Surface Laptop Ultra(RTX Spark) | 128GB+1TB | 109万4,280円 |
(EVOはGMKtec日本公式ストア、SurfaceはPC Watchより、どちらも10月8日。EVO-X5 ProにはSSDなしの102万9,990円の構成もあります)
条件はそろっていません。EVOはミニPCで、Surface Laptop Ultraは画面とバッテリーまで入ったノートです。SSDも、EVO-X5 Proの2TBに対してSurfaceは1TBです。それでも、統合メモリ機の最上位どうしがほぼ同じ値段になった、というのが今回のニュースです。
条件のそろう相手としては、据え置き型のSurface RTX Spark Dev Boxがあります。メモリ128GB・SSD 2TBのミニPCで、米国では5,999.99ドル。128GBのノート(5,899.99ドル)と100ドルしか違いません(ServeTheHome)。ただし、今のところ米国のMicrosoft.comだけの販売で、出荷は11月、日本での発売は未定です(GIGAZINE)。Surface Laptop Ultraの日米の価格の比で単純に換算すると、日本で出れば111万円前後になります。EVO-X5 Proとほぼ同額、という話は据え置き型どうしでも変わりません。
Surfaceの64GBから128GBへの差額は28万1,600円で、メモリの値上がりがここにも出ています。ASUSのProArt P14・P16は米国で2,599.99ドル(24GB)からで、日本には10月下旬に入りますが、国内の価格はまだです(The Gadgeteer)。
同じ値段なら、違いは2つ
| EVO-X5 Pro | Surface Laptop Ultra | |
|---|---|---|
| チップ | Ryzen AI Max+ PRO 495 | RTX Spark(N1X) |
| メモリ | 192GB(LPDDR5X-8533) | 128GB(LPDDR5X) |
| メモリ帯域 | 273GB/s | 273GB/s(公表値はまだなく、DGX Sparkと同じメモリの作りと仮定) |
| GPU | Radeon 8065S(RDNA 3.5、40CU) | Blackwell、CUDAコア6,144、第5世代Tensorコア |
| AI演算 | NPU 55 TOPS | FP4で最大1ペタフロップス |
| CPU | x86(Zen 5)16コア | Arm 20コア |
| OS | Windows 11 / Linux | Windows 11(Arm版) |
(RTX Sparkの仕様はNVIDIAの製品ページより。PRO 495は前々回の記事でまとめたAMDなどの公表値)
値段が同じになったので、比べるのは「メモリが64GB多いこと」と「GPUの作り」の2つです。
ローカルLLM:速さは同じ。+64GBが生きるかどうか
このシリーズで確かめてきたとおり、LLMの生成速度の上限は「メモリ帯域÷1トークンで読む量」で決まります。RTX Sparkの帯域の公表値はまだありませんが、前回の記事で書いたとおり、同じ128GBのDGX Spark(GB10)と同じメモリの作り(LPDDR5X-8533、256ビット幅)なら273GB/sで、PRO 495とまったく同じです。同じモデルなら、生成の速さはほとんど変わらないはずです。
そうなると、ローカルLLMで差がつくのは容量だけです。判断の基準は、増えた64GBを生かせるMoEモデルが出てくるかどうかです。
ただ、私はそういうモデルは出てきにくいと見ています。モデルを作る側も、普及しているマシンに合わせてサイズを決めるはずだからです。いま統合メモリ機のメモリ容量は、だいたい次の3段に分かれています。
| 容量 | 主なマシン |
|---|---|
| 128GB | DGX Spark、RTX Spark、Ryzen AI Max+ 395、MacBook Pro(M5 Max) |
| 192GB | Ryzen AI Max+ PRO 495 |
| 256GB・512GB | Mac Studio(M5 Ultra) |
(MacBook ProはM5 Maxの構成で最大128GB。Appleの発表より。Mac StudioのM5 Ultraは96GB・256GB・512GBから選べ、表には256GBと512GBを入れています。Macworldより)
128GBの機種はNVIDIA、AMD、Appleがそろって出していて、その上はAppleの256GBと512GBです。192GBは、今のところPRO 495だけです。128GBや256〜512GBに合わせたモデルは出てきても、192GBに合わせたモデルは出てきにくいのではないか、というのが私の読みです。
実際、私が試した中でいちばん賢いMoEのQwen3.8 Flash Nextは、4bit(IQ4_XS、94.6GB)で128GBのEVO-X2でも動きました。逆に、192GBで初めて動くモデルもあります。前々回の記事で挙げたQwen3.5-397B-A17Bの3bitです。ただしこれは、もっと大きなマシン向けのモデルを3bitまで削って押し込む形です。Qwen3.8 Flash Nextでも、量子化を下げるほど日常タスクの成績は落ちました(17→14→11/21)。
演算:画像・動画生成まで含めるならRTX Spark
演算の面では、RTX Sparkに軍配が上がります。理由は2つです。
- CUDAに優先的に最適化された環境がそのまま使える。 ComfyUIやPyTorchの高速化も、学習のツールも、まずNVIDIA向けに出てきます。前回のStrataとFreeTokenの比較でも、FreeTokenのAMD対応はまだ試験的でした
- 低精度の演算用のコアを持つ。 RTX SparkのGPUは第5世代のTensorコアを持ち、FP4で最大1ペタフロップスです。PRO 495のRadeon 8065S(RDNA 3.5)は、FP8の行列演算に対応していません(AMDのGPUでFP8に対応したのは次の世代のRDNA 4から。HWCooling)
EVO-X2とRTX 5090の比較では、画像・動画の生成で大差がつきました。RTX SparkはRTX 5090のような専用GPUではありませんが、CUDAコアの数はデスクトップ向けのRTX 5070と同じ6,144です。
Claude Codeは、もう一つ、長い文脈の読み込み(プリフィル)を挙げています。エージェントのように履歴や資料を毎回まとめて読み込む使い方では、生成の速さだけでなく読み込みの速さも効きます。ここは帯域ではなく演算性能で決まるので、Tensorコアを持つRTX Sparkが有利になりやすい、というのがClaude Codeの見立てです。
Claude Codeが挙げた注意点
Claude Codeには、RTX Spark側の注意点も整理してもらいました。
- OSはArm版のWindows 11。 x86向けのアプリは、Windowsに入っているエミュレーター(Prism)で動きます。ただ、ドライバーや仮想化、一部の古いツールは動かないことがあります(マイクロソフトのブログ)。使いたいソフトがArm版に対応しているかは、買う前に確かめたほうがいい
- 実測はこれから。 帯域の公表値はまだなく、Surface Laptop Ultraの発売は10月16日です。ここまでの比較は、すべて公表値と見積もりです
- 容量は128GBが上限。 192GBの構成はありません
- ノートは発熱と電力に縛られる。 RTX Sparkのノート向けは45〜80Wです。長時間の生成を回すなら、Dev Boxのような据え置き型のほうが向いています(Dev Boxは100Wの設計。ただし今は米国だけ)
PRO 495の側にも、x86のWindowsとLinuxがそのまま動く、10GbE×2とUSB4 V2(80Gbps)でつなぐ口が多い、という良さは残っています。
私の結論
- 今から統合メモリ機を買うなら、RTX Spark 128GB。 値段はPRO 495の192GBと同じで、ローカルLLMの速さはほぼ同じ。そのうえで画像・動画生成やファインチューニングまで強い
- ローカルLLMが目的で、価格がネックなら、Ryzen AI Max+ 395の機種。 帯域は256GB/sで大きくは変わらず、EVO-X2なら58万3,000円とほぼ半額です。私の手元のEVO-X2も、Qwen3.8 Flash Nextを専用機として動かせています
- PRO 495の192GBが生きるのは、192GBでなければ動かない良いMoEが出てきたとき。 今のところ、その気配はありません
人間がやったこと、Claude Codeに任せたこと
| 人間(私) | Claude Code |
|---|---|
| 記事の論調(同じ値段なら差は+64GBとGPU、帯域が同じなので+64GBを生かすMoE次第、モデルは普及しているマシンに合わせて作られるので192GB向けは出にくい、演算はRTX Spark、結論)、価格発表の知らせ、この記事のレビュー | 国内・米国の価格と公式ストアの価格の確認、RTX SparkとMac StudioとRDNA 3.5の仕様の調べもの、過去の実測の引用、注意点の整理、原稿と図 |
まとめ
- RTX Sparkを載せたSurface Laptop Ultraの128GB構成は税込109万4,280円。EVO-X5 Pro(PRO 495、192GB)の108万7,840円とほぼ同じ値段になった
- 帯域がほぼ同じなので、ローカルLLMの速さは変わらない。差は「+64GB」と「GPUの作り」
- +64GBを生かせる、192GBでしか動かないMoEは出てきにくい。モデルは128GBや256〜512GBに合わせて作られそう
- 画像・動画生成やファインチューニングまで含めるなら、CUDAとTensorコアのRTX Sparkが上。ただしArm版Windowsと、実測はこれから、という点には注意
- 今から買うならRTX Spark 128GB。ローカルLLMだけで安さを取るなら、395の機種
9月のRTX Sparkの発表を受けた記事では「RTX Spark搭載機もほしいなあ(破産。」と書きました。
可能性は低いと思っていましたが「もし80万円ぐらいだったらどうしよう…」と心配していました。買うのを諦めることができるお値段で、破産せずに済みました(安堵

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